「転職したのに、こんなはずじゃなかった…」
「給与は上がったが、臨床でのやりがいがない」
あなたは今、そんな“転職の後悔” を抱えていたり、次の転職で「失敗」することに怯えていませんか?
あなたが転職に失敗した、あるいは失敗する“本当の”理由は、転職サイトの情報不足や職場の人間関係「だけ」ではありません。
この記事では、転職サイトが決して語らない、転職で失敗するPTに共通する「5つの本質的な理由」を徹底的にお伝えします。
この記事を読み終えた時、あなたは「自分が本当に働くべき職場」を見抜くための「軸」を手に入れ、キャリアで後悔しない「次の一歩」を踏み出すことができます 。
転職失敗の本質は、ただ一つ。あなたの「自己分析(臨床理念)の欠如」です。
- 転職失敗に共通する「5つの本質」がわかります
- 面接官の視点から「後悔しない職場選びの軸」が確立できます
- 「自己PR」や「志望動機」に一貫性を持たせる「自己分析法」が学べます
- 給与や人間関係に振り回されない「あなたの臨床理念」が見つかります
なぜ理学療法士の転職は「失敗・後悔」に終わるのか?

多くの転職希望者が、転職サイトや同僚の話だけを鵜呑みにし、「失敗」の本質を見誤っています。
まずは、よくある「表面的な理由」と、面接官である私が見抜いている「本質的な理由」の違いを明確に指導します。
競合が語る「表面的な」失敗理由(給与・人間関係・休日)

一般的な転職サイトやブログでは、失敗の理由として、以下のような「表面的な」問題が挙げられがちです。
- 思ったより給与が上がらなかった
- 職場の人間関係が合わなかった
- 残業が多く、休日が少なかった
- 聞いていた業務内容と違った
もちろん、これらも重要な要素です。
しかし、これらは転職失敗の「現象」であって「原因(本質)」ではありません。
なぜなら、これらの不満は「他人」や「環境」に依存しているからです。
PTLab運営環境要因だけで職場を選べば、次の職場でも同じ不満を繰り返し、キャリアを消耗するだけです。
【面接官の視点】私が断言する「転職失敗」の“本当の”理由


面接官を数多くしてきた私が断言します。
転職に失敗する“本当の”理由、その本質は「あなた自身の臨床理念(軸)が定まっていないこと」に尽きます。
なぜなら、自分自身の「軸」がなければ、職場を選ぶ基準も「給与」「休日」「アクセス」といった、誰でも比較できる「表面的な条件」になってしまうからです。
例えば、面接で以下のような志望動機を語るPTがいたとします。
- 「貴院は給与が高く、家から近いので志望しました」
- 「急性期を経験したいので、急性期病院である貴院を志望しました」
一見、まともに聞こえますが、面接官からすれば「軸がない」ことは明白です。
「なぜ、うちの急性期でなければならないのか?」 「あなたは、ここで何を実現したいのか?」
という最も重要な「本質」が欠けています。
だからこそ、転職に失敗するのです。
【本質】転職で失敗する理学療法士に共通する「5つの欠如」


私が面接官として「この人は採用しても、うちで長く活躍できないな」「前の職場と同じ理由で辞めるな」と感じるPTには、共通する「決定的な欠如」があります。
それが、以下の5つです。



あなたの転職活動がこれに当てはまっていないか、チェックしてください
理由1:自身の「臨床理念(軸)」が欠如している


これが最も重要であり、全ての失敗の根源です。
臨床理念とは、「自分は理学療法士として、患者(利用者)様にどうなってほしいのか、そのために何を提供する専門家なのか」という定義、すなわち「軸」を指します。
- 【面接官が見たNG例】

PTLab運営

なぜ、当院の回復期リハビリテーション病棟を志望されたのですか?



はい、急性期で3年間経験を積み、今後は在宅復帰に向けたアプローチを学びたいと考え、回復期を志望しました
一見、100点満点に見えますが、これでは「軸」が見えません。
私は必ずこう聞き返します。「なぜ、数ある回復期病院の中で、うちの病院なのですか?」
ここで大半の転職者が詰まります。
「分野」でしか職場を見ておらず、「その病院の理念」と「自分の理念」を擦り合わせていないのです。
- 【面接官が採用したOK例】



(上記の回答に加え)特に貴院が掲げる『退院後訪問指導による生活期へのシームレスな移行』という理念に強く共感しています。
私は急性期で『退院後の生活が見えないまま退院させてしまう』ことにもどかしさを感じており、貴院でこそ、私の目標である『患者様の3ヶ月後の笑顔』を実現できると確信し、志望いたしました。
この差は歴然です。
理由2:「強み」の客観的な分析が欠如している


次に多いのが、「自己PR」と称して、客観性のない「意気込み」だけを語るPTです。
- 【面接官が見たNG例】



「私の強みは、明るさとコミュニケーション能力です。誰とでもすぐに打ち解け、チーム医療に貢献できます」
「勉強熱心なのが強みです。週末はセミナーに参加し、知識をアップデートしています」
面接官からすれば、「それは社会人として当然では?」
「で、あなたを採用すると、うちの病院にどんなメリット(利益)があるのですか?」という話です。
では、このような自己PRに変えてみたらどうでしょうか。
- 【面接官が採用したOK例】



私の強みは、脳卒中片麻痺患者様に対する『課題指向型訓練のプログラム立案能力』です。
現職では、週1回のカンファレンスで訓練内容のプレゼンを担当し、導入前後でFIMの改善率が平均◯点向上した実績があります。
貴院の脳卒中リハビリ強化チームで、この経験を即戦力として活かせます。
「強み」とは、具体的な実績(エビデンス) に基づき、相手(病院)のメリットとして提示できて初めて「強み」となります。



自分を採用すると「具体的に何をもらしてどんなメリットがある」のかを表現できるといいですね
理由3:「弱み(やりたくない事)」の定義が欠如している


転職で「後悔」する人は、「やりたい事(強み)」だけでなく、「絶対にやりたくない事(弱み・価値観)」の定義も曖昧です。
- 背景: 「給与が低い」という不満だけで転職活動を開始。
- 転職: 給与が5万円高い、訪問リハビリテーション事業所に内定。
- 失敗: いざ入職すると、1日の大半が運転業務と事務作業。自分がやりたかったはずの「徒手的な介入」や「詳細な動作分析」の時間は皆無。「給与は上がったが、PTとしてのやりがいがない」と後悔する。
これは、「給与」を軸にした結果、「運転や事務作業がメインでも構わないか?」という自分自身の「弱み(許容できないこと)」と向き合わなかったために起こった失敗です。
理由4:5年後、10年後の「キャリアプラン」が欠如している


「理学療法士 転職 何年目 」というキーワードで検索する人が多いですが、私は面接で「なぜ、◯年目の今、転職なのですか?」と必ず聞きます。
- 【面接官が見たNG例】



3年目になり、一通りの業務は経験したので、新しい環境でチャレンジしたいと思いました。
今の職場は教育体制がなく、将来が不安になりました。
これらは全て「目先の不満解消」が目的化しています。
「新しい環境」で何を成し遂げたいのか、「将来の不安」を解消するために、次の職場でどういうキャリアを歩むのか、という未来へのプランが全く見えません。
理由5:他責思考


最後の欠如は、「他責思考」です。
「転職エージェントに勧められたから」「口コミが良かったから」という理由で職場を決め、失敗した際に「エージェントが言っていたことと違う」と嘆くPTがいます。
エージェントは「転職のプロ」ですが、「あなたの臨床理念」のプロではありません。
本当に「軸」があるPTは、エージェントから情報を得つつも、
- その病院のホームページの「理念」を熟読する
- 可能なら「職場見学」を申し込み、現場の雰囲気やリハビリ室の機器を自分の目で確かめる
- (可能なら)その病院が発表している論文や学会発表を調べ、リハビリのレベルを推し量る
といった「自分軸」での情報収集を怠りません。
情報収集を他人に丸投げ(他責)にした時点で、その転職は失敗する運命にあります。
後悔しない転職を実現するには「自己分析」が重要
「5つの欠如」を克服し、二度と後悔しない転職を実現するために必要なのは、ただ一つ。
徹底した「自己分析」です。
これは、あなたのキャリアの「方向性」を作る作業で、時間がかかっても、ここから逃げてはいけません。
私が新人指導や面接で活用している「3つのステップ」で、あなたの「軸」を確立します。
ステップ1:「臨床理念(軸)」を確立する(=なぜPTになったか)


ここが曖昧なままでは、どんな職場に行っても「隣の芝」が青く見え続けます。
まずは紙とペンを用意し、以下の問いに「自分の言葉で」書き出してください。
- そもそも、なぜあなたは大勢の医療職の中から「理学療法士」を選んだのですか?
- これまでの臨床で、最も「嬉しかった」瞬間は、どんな患者様の、どんな場面でしたか?
- 逆に、最も「悔しかった」「無力だった」と感じたのは、どんな場面でしたか?
- あなたがPTとして、絶対に「譲れない(曲げたくない)」信念は何ですか?
- (給与や休日を抜きにして)あなたが「やりがい」を感じるのは、どんな業務(介入、カンファ、勉強会など)ですか?
- あなたの介入によって、患者様(利用者様)に最終的にどうなってほしいですか?
(例:痛みが取れる、歩ける、笑顔になる、社会復帰する) - 3年後、あなたはPTとして、誰に、どんな「ありがとう」をもらっていたいですか?
これらの答えに優劣はありません。
「痛みをとりたい」「在宅復帰を支援したい」「スポーツ復帰させたい」「笑顔にしたい」。
全てがあなたの「臨床理念(軸)」のタネです。



この答えこそが、あなたが次の職場で「本当に実現したいこと」であり、面接で「志望動機 」の根幹として語るべきことです。
ステップ2:「強み・弱み」を言語化する(=面接対策)


臨床理念(軸)が定まったら、次に「その軸を実現するための武器(強み)」と「その軸から外れること(弱み)」を明確にします。
これは「自己PR」や「履歴書」作成の核となります。
「頑張れます」といった意気込みは「強み」ではありません。
「強み」とは、客観的な根拠(エビデンス)に基づいた「貢献できる技術」です 。
- 以下の形で、あなたの経験を整理してください。
-
P (結論): 私の強みは「〇〇」です。
R (理由): なぜなら、現職で「〇〇」という課題があったからです。
E (具体例): 私はその課題に対し「△△」という工夫(勉強、行動)をし、結果として「□□」という客観的な成果(数値、実績)を出しました。
P (結論): この「〇〇」という強みを活かし、貴院の「☆☆」という領域で即戦力として貢献できます。
- この「E(具体例)」に書けることこそが、あなたの「強み」です。
「弱み」の分析は、ネガティブな作業ではありません。
「自分の理念を実現するために、避けるべき環境」を定義する、ポジティブな防衛策です。
- 軸が「徒手療法で痛みを改善する」なら:
- 「弱み(避けるべき)」= 運動機器(マシン)中心の施設、リハビリ時間が20分しかない職場
- 軸が「患者とじっくり向き合う」なら:
- 「弱み(避けるべき)」= 1日の訪問件数が10件を超えるような、効率重視の訪問事業所
このように「弱み(やりたくない事)」を定義することで、給与や休日といった「表面的な条件」に惑わされず、入職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。
ステップ3:「キャリアプラン」から逆算して「職場に求める条件」をリスト化する


ステップ1と2が完了して初めて、私たちは「職場に求める条件」のリストアップに移れます。
私が推奨する正しい順番は、逆です。
- 臨床理念(軸): 「私は、在宅復帰困難な患者様を、徹底した動作分析で社会復帰させるPTになる」
- キャリアプラン: そのためには「回復期で最低5年、中枢疾患の分析技術を学ぶ」必要がある
- 強み/弱み: 「強み」である動作分析を活かせる、「弱み」である短時間リハ(介護施設など)は避ける
- 求める条件(結論): 「中枢疾患のリハに力を入れており、教育体制(学会発表など)が充実している回復期病院」
ここまで「軸」が定まって初めて、「では、この条件に合う病院の中で、最も給与やアクセスが良いのはどこか?」という比較検討(=転職サイトやエージェントの活用)が始まります。
【実践】自己分析(軸)を活かした転職活動の進め方
確立した「自己分析(軸)」は、転職活動におけるあらゆる場面で「判断基準」となります。
ここでは、面接やエージェント選びで、その軸をどう活かすかを具体的に指導します。
面接官はここを見る:「志望動機」と「臨床理念」の一貫性


面接官が「志望動機」で最も知りたいのは、「あなたの臨床理念(軸)」と「当院の理念」が一致しているか、ただ一点です。
自己分析ができていないNG例では、「給与が高いから」「急性期を学びたいから」という、自分都合の「条件」や「分野」の話しかできませんでした。
ここまで記事を読んでくれたあなたは、自信を持ってこう答えることができるはずです。
- 【自己分析を活かしたOK例】
-
「私の臨床理念は『徹底した動作分析で、患者様を社会復帰させる』ことです。(臨床概念)
そのために、現職では歩行分析の精度向上に努めてきました。 しかし、現職は介護施設であり、『社会復帰』というゴールを本気で目指せる環境ではありませんでした。 (強み)
そんな時、貴院の『データ(FIM)に基づいた在宅復帰プログラム』という理念と、学会発表されている〇〇先生の取り組みを知りました。
私の強みである動作分析能力を活かし、貴院の理念である『社会復帰』に貢献できるのはここしかないと確信し、志望いたしました。(求める条件)
これが「一貫性」です。
【臨床理念】→ 【強み】 →【現職の課題】→【転職先でなければならない理由】 これらが全て「軸」で繋がっているため、面接官は「この人は採用後も、明確な目的意識を持って活躍してくれる」と確信できます 。
信頼できるエージェントの見極め方
自己分析が完了すると、「転職エージェント」や「転職サイト」との付き合い方も劇的に変わります。



どこか良いところありませんか? 給与が高くて、残業がないところで…



A病院なら給与UPですよ。B事業所は最近できました(=マージン高い)
結果: → エージェントの「都合」で職場を決めさせられ、失敗する。



私の臨床理念は『〇〇』です。この理念を実現するため、キャリアプランとして『△△』の経験が積める職場を探しています。この『軸』に合う求人を提案してください



うーん、理念とか言われても…。とりあえず給与が高いA病院はどうです?
ここで手を打ってはいけません。



承知しました。あなたの『軸』ですと、A病院は理念が合いません。
B病院は給与こそ少し下がりますが、あなたの理念に近い『〇〇』という取り組みを強化しています。
C事業所は…
もし、あなたが「臨床理念(軸)」を確立した上で、それを理解してくれる「本物のプロ」に相談したいのであれば、以下のエージェントを活用することを推奨します 。
転職時期や年齢は問題か?


最後に、自己分析ができたあなたが抱くであろう、次の不安(=転職時期や年齢)にお答えします。
Google検索すると
- 「理学療法士 転職 30代」
- 「理学療法士 転職 40代」
- 「理学療法士 転職 何年目」
と、よく出てきます。
これらの検索キーワードを見るたび、私は「本質はそこではない」と感じます。
面接官の視点から断言しますが、「軸」さえ明確であれば、年齢や経験年数は一切関係ありません。
- NGな40代: 軸がなく、「経験年数だけは長い」が「強み」を語れない。「給与が低い」と他責的な不満ばかり言う。
- OKな40代: 明確な「臨床理念(軸)」と「強み(管理職経験、特定の技術)」を持ち、「この経験を活かして、貴院で若手を指導したい」と未来を語れる。
- NGな2年目: 軸がなく、「教育体制が悪い」と他責的に辞める。「次は教えてくれるところ」と受け身。
- OKな2年目: 明確な「臨床理念(軸)」があり、「今の職場では〇〇が学べない。貴院の〇〇(軸)の元で、これを学びたい」と主体的に語れる。
もうお分かりですね。
「何年目だから」「30代だから」転職が難しいのではありません。
「軸がない」から難しいのです。



あなたの「臨床理念(軸)」こそが、年齢や経験年数という不安を打ち破る最強の武器となります。
まとめ
ここまで、理学療法士の転職失敗の本質について、お伝えしてきました。
転職に失敗する“本当の”理由は、給与でも、人間関係でも、休日でもありません。
それは、あなた自身の「自己分析(臨床理念)の欠如」です。
この記事の要点を、最後にもう一度確認してください。
- 失敗の本質を自覚せよ:
- 転職失敗の本質は、あなたの「軸」がないまま、給与や休日といった「表面的な条件」に振り回されることにある。
- 自己分析から逃げるな:
- 「5つの欠如」を克服する唯一の方法は、自己分析を徹底することである。
- 順番を間違えるな:
- 「臨床理念(軸)」を確立し、次に「キャリアプラン」を描き、最後に「求める条件」を定義する。
- 軸が最強の武器である:
- 面接官が見ているのは、年齢や経験年数ではない。「臨床理念」と「志望動機」の一貫性である。
あなたの理学療法士としてのキャリアは、あなたが思っている以上に価値があります。
その価値を最大化する「戦略的な転職」を成功させ、二度と後悔しない未来を手に入れることを、心から願っています。


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